突発性難聴

• あるとき突然に、片側の耳が聞こえなくなる病気です。
• 疲れがたまったり、高血圧や糖尿病、心臓の病気などの生活習慣病があると発症しやすいといわれています。
• 原因は不明ですが、ウイルス感染説や、内耳循環障害説（耳の血流が悪化してダメージをうけ、聴力が低下する）が有力な説です。
• 基本的に再発することはないので、難聴が再発した場合にはほかの病気（聴神経腫瘍、メニエール病など）を考える必要があります。

• 突然に片側の耳が聞こえなくなる・・・突発性難聴の場合、発症した時期や状況をきちんと説明できることがほとんどで、徐々に聞こえが悪くなる（発症時期がはっきりしない）のは突発性難聴ではありません。
• 耳鳴り・・・難聴が改善しないとなかなか消失しません。
• 耳がつまった感じ（耳閉感）・・・聞こえが悪くなると耳がつまっていると感じる人がいます。
• めまい・・・めまいがある突発性難聴は重症であり、なかなか治りません。

• 3分の1が完全に治り、3分の1が一部改善、3分の1がまったく治らない、といわれています。
• 発症後2週間以内、遅くても4週間以内に治療を開始する必要があります。
• めまいを伴う症例、難聴が高度な症例、高齢者では治癒率が下がります。

通常はステロイドを中心とした治療をできるだけ早期に行います。難聴が治らないこともありますから、あとで後悔しないように治療方針を決める必要があります。

• ステロイド治療について
  • 大量のステロイドを1～2週間かけて投与します。（ステロイド漸減（ぜんげん）投与）
  • 突発性難聴を放置した場合の自然治癒率は約3割であり、ステロイド治療を行うことで治癒率が4～5割に上がるといわれています。
  • 内服と点滴があります。
  • 内服と点滴の間に明らかな効果の差は証明されていません。
  • 当院では、内服治療を中心に行っています。
  • 点滴治療をご希望される場合、休日も欠かさず毎日点滴をするため大きな病院での治療が必要です。紹介状をつくりますから、遠慮なくお申し出ください。
  • ステロイドには血糖値を上げる副作用があるため、糖尿病のある方は厳密に血糖値を調整しながら治療する必要があるので、大きな病院を紹介させていただきます。
  • 代謝改善薬、血流改善薬、ビタミンＢ１２（神経の修復に用いられるビタミン）を治療補助薬として使用します。
• その他の治療についての個人的見解
  • 高圧酸素療法・・・酸素タンクの中に入り、内耳に酸素を補給する治療です。特殊な設備が必要ですし、行わなくても問題ないでしょうが、ご希望の場合はご相談ください。
  • 星状神経節ブロック・・・首に麻酔薬を注射し、自律神経を整えます。リスク、手間を考えるとこれも必須の治療ではないと思いますが、ご希望の場合はご相談ください。
  • 炭酸ガス吸入法・・・経験がないのでわかりません。